4月26日オープンのアミューあつぎについて、公式Facebookでは続々とその整備状況が発信されている。また、アミューあつぎの概要や入居テナントについて取り上げるメディアも多い。今回はそうした情報から垣間見えてきた、アミューあつぎに対する厚木市の”本気度”について紹介したい。
アミューあつぎのオープン日に行われるフードバトル
アミューあつぎのオープン日程は4月26日。丁度そのタイミング、4月26日と27日に本厚木で行われるイベントが、「第7回フードバトルinあつぎ」だ。
フードバトルの概要は、神奈川県内のご当地グルメが厚木中央公園にて一同に会して、来場者投票で人気を競うというもの。コンセプト自体はよくあるものだし、他の自治体でも同様のイベントが行われている可能性は高い。
ただ、厚木市で行われるグルメ対決が県内の他の自治体のものと違うのは、厚木市がシロコロホルモンというB-1グランプリグルメを持っているというところと、2010年の第5回B-1グランプリの会場となったことがあるというところだ。
実は第3回フードバトルの扱いは、4ヶ月後に行われるB-1グランプリin厚木のプレイベントという扱いであった。また、B-1が開催されている際に、やはり同様の主旨で神奈川県のB級グルメを紹介するフェスであるロコフードフェスタKANAGAWAという催しが行われていた。つまり、神奈川県内のB級グルメ提供者にとってみれば、厚木市への出展がアピールチャンスであるとのイメージは非常に強いわけだ。
そんなイベントとアミューのオープンを重ねてくるというところに、厚木市のアミューアピールへの思いを感じずにはいられない。厚木中央公園でのイベントということで、駅前で行われるイベントに比べても街が流動性をもつチャンスであり、イベントに参加した客がオープンしたアミューの存在に気付く可能性も高くなるだろう。
よく練られたアミューあつぎの「幼稚園送迎システム」
もう一つ。こちらは稀代の妙策として是非とも紹介したいもの。アミューあつぎの8階の市営託児室「わたぐも」で午前7時から市内の提携幼稚園の園児を預かり、バスで送迎する「幼稚園送迎サービス」。このような仕組みを設けることにより、市外に勤務する保護者が朝の出勤時に子供を預け、そのまま都合の良いタイミングで出勤することが可能になる。
各種メディアのニュースで「本厚木駅近くに託児所」と報道している(させている?)点については、そんなに近くないだろうというツッコミもしたくなるが、要するにこの旧パルコビルの弱点、駅から遠く人の流れが来ないという点を解消するため、ひどい言い方をすれば「人質」をとることにしたのだと思う。
駅から人の流れができることにより、周辺にも店ができるという点や、「人質」を留め置く場所が、非常に分かりやすいシンボル(=街中にいても安心感を感じる)であるところなど、この施策は現代の参勤交代システムと表現してもいい。行政サービスの拡充と並行して一石二鳥を狙った、上手いサービスだなあと感心する。
現在のところ発表されている園児の受け付け上限が30人ということで、人集め施策としてはまだまだコンパクトであるけれど、施策が成功したら同様の発想でアミューに市民がやってくる”動機”を、行政の大鉈を使って作り出せばよい。そのことはアミューに入居するテナントの利益だけではなく、街の人の流れの再生という点で大いに公益に値するだろう。
というわけで、アミューあつぎにどうやら厚木市は本気なようである。映画館の復活や県内初出店テナントの誘致だけが人集めの施策というわけではなく、いくつも策を重ねてのオープンのようだ。オープン後も、街の人の流れが復活するまでイロイロと目が離せなそうである。
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