相模川以東を扱うのは本来レギュレーション違反なのに、結構な頻度で東側エリアのお店を紹介しているような流浪のサイト、厚木以西.netです。開き直って境川以西ならOKにしてしまおうか。でもそうすると海老名の良い所を沢山紹介しなければならなくなり、厚木が金輪際目立たなくなりそう、却下却下却下。
焙煎豆専門店というジャンルを紹介する
今回紹介する店は、コーヒー豆を扱った店である。コーヒー豆というのはアカネ科のコーヒーノキという植物に生る赤い果実の種子部分のことで、これを焙煎(熱して水分を飛ばす)したものが焙煎豆、そして焙煎豆を挽いて粉にしたものに水を通して成分を抽出する。
コーヒー豆の生産地が主に国外で、輸入する作物であるのに関わらず全国各地の街に焙煎豆専門店があるのは、この焙煎というプロセスがコーヒーの味に大きく関わり、職人の腕の見せ所となるからである。そして焙煎後の豆は段々と劣化していくので、どこのご近所にも焙煎所の存在が必要になるわけだ。
というわけで各街にある焙煎豆専門店をじっくり見てみると、渋いお爺さんが昔からやっているような店内調度品にも焙煎の煙が染み付いているタイプの店と、ファッショングラスでもかけていそうな若者店主が切り盛りする小綺麗な店の2タイプに分けられるということに気付く。そしてその違いはなにも見た目だけではなく、焙煎豆専門店としてジェネレーションの違いでもあったりするから、あながち見過ごすことも出来ない。
スペシャルティコーヒーとかサードウェーブコーヒーとか
古めかしい焙煎豆専門店が重視するのは、焙煎のテクニックそのものであったりする。豆は品種や産地の別によって区別され、経験に裏打ちされた方法で焙煎し提供する。焙煎度合いはコーヒーの味が苦味寄りになるか酸味寄りになるか(一般的に深煎りをした方が苦味が出易い)を左右するため、店主の納得のいく焙煎度合いの豆、そしてそれらのブレンドをその店の味として販売するのである。
一方、最近の小綺麗な店はスターバックスなどシアトル系コーヒー以降に登場したサードウェーブの流れを汲んだもので、勿論焙煎のテクニックを軽視しているわけではないが、それ以外の所にも販売する豆の個性を見出そうとする。それまで品種や産地でざっくりと区別されていた豆を、ワインに使われるブドウのようにどこの農園のどんな土壌で作られたものといった細部まで区別し価値を語る。丁度ワインにおけるパーカーポイントのような分かり易い指標として、カップオブエクセレンスという産地での審査会の点数や順位といったものもある。焙煎職人には焙煎のテクニックのみならず、業界の最新情報へのアンテナの高さや良い豆を仕入れられるコネクション等も求められる時代になってきたのだ。
参考:スペシャルティコーヒーの定義(SCAJ)
参考:スペシャルティコーヒーという言葉の誕生経緯
辻堂の有名な焙煎豆専門店 27 coffee roasters
そしてサードウェーブコーヒーの流れが出てきてこのかた、湘南にあるスペシャルティコーヒーの有名店を集めて、湘南コーヒーベルトという呼び名が与えられている。どうもそれを流行らせようとする人達にやる気が無いのか、呼び名がそんなに定着はしていないみたいだけれども、たまに思い出したかのように雑誌の特集にこの単語が出てくるから要チェックである。
話が脱線したけれども、この湘南コーヒーベルトの中に確実に入ってくるだろう藤沢市辻堂の焙煎豆専門店が、27 coffee roastersである。
鉄道駅からのアクセスとしては、JR東海道線の辻堂駅が一番近い筈。ただ徒歩で15分位はかかる。辻堂駅から湘南T-SITEに行く途中とも言える立地なので、車を出すならばT-SITEの行き帰りにちょっと寄ってくることができる店だ。
元々はこの場所で、かさい珈琲という名前で1997年から営業を始めた焙煎豆専門店であったらしい。ホームページのヒストリーに曰く、店主は最初は弟子入りもしない我流の焙煎店として始めたけれども、1999年頃から日本でも始まったスペシャルティコーヒーの潮流に草創期から参加し続けた結果、やがてカップオブエクセレンスの国際審査員に選ばれるまでになった。そしてその結果、湘南という半田舎の住民が、常にサードウェーブコーヒーの最前線の情報に接することが出来るようになったのだ。ありがたや。
店内にてゆっくりと試飲が可能
このお店の凄い所は、取り扱っている豆のほとんどが店内試飲可能であるということ。入口の扉を開けると、それこそコーヒー豆の品評会のようなずらりとならんだ試飲用ポットが出迎える。いかにコーヒーに熱を入れる人間であろうとも、焙煎豆専門店に行って店の商品を隅から隅まで試飲させてくれと頼み込むには余程の面の皮の厚さがなければいけない。その点客が商品を試飲するのは大前提というように店側が計らってくれているのは、大変にありがたいことなのだ。実際の試飲機会の前には、コーヒーの知識ある者ない者とも平等である。飲んでみて気に入った豆を買えばよろしい。
ということで、ほとんど全種類の豆を試してみた結果、ほどよく酸味と苦味があるステレオブレンドというブレンドが私の個人的好みであると分かった。店の機械で豆を挽いてもらっている間、好きなドリンクを一杯飲ませてくれるという心憎いサービスもある。
焙煎豆専門店である27 coffee roastersの隣には、CORNER 27というカフェが併設されており、そちらでは腰を落ち着けてゆっくりと同焙煎所のコーヒーとスイーツを楽しむことが出来る。湘南では押しも押されぬブランドとなった27 coffee roastersの名前。色々なカフェやイベントでその名前を耳にすることができる。
相模川を毎回渡ってでも通い詰めるべきなのである。まあ厚木にも良いところはあるので、適材適所。
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