本厚木の有名ラーメン店と言えば、何と言っても麺や食堂である。かの有名な集合知である食べログが本厚木ラーメン店の1位に推しているのだから、食べログのレビュアーが全員馬鹿舌であるという大惨事的状況がない限りは、とにかく本厚木にやってきて足を向けるべきは麺や食堂なのである。
麺や食堂 本厚木で60年の歴史ある店
この麺や食堂がある場所は、小田急小田原線の本厚木駅から徒歩で10分程。相模川にぶつからんとする辺りである。小田急小田原線に乗って新宿方面に向かうと、相模川を渡る直前で麺や食堂の看板が見える。いつも行きたいな♪行ってみたいな♪と思いつつ、実際本厚木で降りても、歩くのが面倒臭かったり、もっと駅に近いところに支店(うづまき)があったりして行かない。
や、でもこのまま行かないままだと、厚木以西紹介サイトとしてモグリのままではないかと急に心配になったので、空いていそうな時期を見計らって行ってきた。
この麺や食堂というラーメン店は、見た目こそ小綺麗なモダンレトロ調であるけれども、実際の店の歴史もレトロであるらしく、本厚木の街で昭和30年から営業しているらしい。ただ、ラーメン専門店になったのは最近のことで、開店最初はブラジルという名前の喫茶店であり、その後は色々なメニューが出てくる大衆食堂的存在であったそうな。ブラジルは旧店名の”麺や食堂ブラジル”にも反映されていたようである。ブラジルという単語と喫茶店はかろうじて結びつくけれども、ラーメンとは赤の他人である。そんな事実に気付いたからなのか、最近シンプルな麺や食堂という名前へと改名された。
麺や食堂 全てにおいて行き届いたラーメン
行列も無く入店。名物のから揚げがとても訴求するメニューを眺めて、かなり長考した後、中華そば680円単品を注文する。待っている間もレトロ調で賑やかな店内を眺めていると飽きない。そして店員の接客はハキハキとしており、気持ちがよい。人気店として隙がないなという感想を抱く。
やがてテーブルに届けられた中華そばは、きちんと畳まれた麺が美しく、箸を差し込んで召し上がってみたいという欲求を呼び起こす。見た目でそそる食欲もあるというもの。それに、こういったきちんと整えられた見た目は、グルメサイトに写真が上げられることを考えても重要だ。ちゃんと食べログレビュアーの心根を捉えている。
スープから賞味すると、悪くはないけれど、個人的な好みには合わないといった感想。出汁に使われている煮干しや昆布と、濃いめの醤油の守備範囲がとても重なっている感じで、スープを啜って最初に来る味、口の中に広がる味、後味と分けたときに、口の中に広がる味の部分がちょっと飽和気味である。そのため、スープ自体の塩辛さもあって、レンゲが次の一杯を求めてグイグイ進む感じのスープではない。
ただ、具と麺については期待以上のものである。2枚乗っているチャーシューが豚と鶏とそれぞれ異なっている。これは面白い試みで、チャーシュー自体の量の少なさを感じさせない工夫だ。添えられた海苔とシナチクは香りが豊かで、スープとお互いを補いあう。白髪葱も丁寧な仕事だ。麺は細め柔らかめで、小麦の香りが強く、スープが染み込み過ぎていないので飽きずに啜ることが出来る。
そして、食べ終わる頃合いを見計らって黒烏龍茶が差し出される。スタッフが客席に常駐してこちらの様子をうかがっているのは、最適なタイミングを計っているのだろう。実に、実に心憎い。
で、総合的な感想。このラーメンは食べログで1位になっていてもおかしくはない。それは具の一工夫であったり、スタッフの対応であったり、店の雰囲気であったりと、とにかく加点法評価で加算ポイントが沢山あるのだ。加算点が沢山あるので、冷静に採点するのが面倒臭くなってとりあえず最高点をつけてしまう感じ。
実際のラーメン自体もクオリティが高いのである。高いのであるが、スープを啜り麺を手繰ったときに、これこれ、この味が食べたかった!とはならないのが少し残念である。それはやはり、先に書いた飽和感が解決されていないからなのかもしれない。
ここまで散々食べログ第一位という文句を引っ張り出して、随分鼻につくいやらしいレビューをしている奴だ、と思われるかもしれないけれど、実は食べログ5年連続第一位!とかの文句は、店側も公式ホームページなどで大々的にうたっている。ということもあって、グルメサイトで高評価になるラーメンを、悪くいえば確信犯的に、良く言えばユーザ評価を元に切磋琢磨しながら提供しているのだろう。たまに本厚木の人気店の味として再確認をしたくなるけれど、混んでいたら並んでまで食べようとは思わない。そんなポジションかもしれない。
というわけで、黒烏龍茶よりプーアル茶の方が好きなので星一つ減らします★
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