ビナウォークらーめん処には、以前紹介した清勝丸を筆頭として、レベルの高いラーメン店が並んでいる。不人気店が早々に閉店、頻繁な入れ替わりが行われてきたためであるが、生存競争を生き残ったラーメン屋はどれも、一癖も二癖もあるような店であったりする。そして、ふとラーメンを食べたいと思った際に、案として頭に浮かびやすい個性は大変重要なのである。
たんめん専門店百菜も、コンセプトの固まった癖のある店だ。ぎょうてんやのような二郎系ラーメンの店がこぞって、「ニンニク入れますか?」というスローガンを掲げる要領で、この店のスローガンは「野菜足りてる?」だ。野菜の量をグラム数で表示(480g)するなど、店のノリは本当に二郎系のごとし。野菜のドカ盛りを食べたくなったら、まずこの店のことが思い浮かんでもおかしくない(まあ、海老名周辺なら、博多どんたくも捨て難いのだが)。
店名の通り、野菜たんめん720円が看板メニューである。ただ今回は、ドカ盛りの野菜だけでは飽き足らず、炭水化物も大量摂取したかったため、800円の野菜つけ麺を頼んだ。つけ麺は麺が500gに増量できるので、ドカ盛りの野菜とドカ盛りの麺の乱暴な組み合わせも可能だ。
ウェイター、料理人含め中国系の方のようで、厨房では慣れた手つきで中華鍋が振られている。ビナウォークらーめん処でなければ、コストの削減の結果と言えるよろしくないものを提供されるのではないかと不安になるところだ。
出てきたつけ麺は、麺も魚介豚骨ベースのつけ汁も悪くない、期待した通りのつけ麺だ。どこか他の店で、野菜抜きのこの組み合わせで看板メニューになっていてもおかしくない。麺の風味も感じられ、理屈抜きでいただける。
折角別皿で提供されているので、野菜をそのまま味わってみる。なんと、この野菜炒めはいかにも中国系の店でお目にかかれそうな、ラードの香りが強く脂っぽい野菜炒めだ。加えてガスの臭いのような上品でない香りがあるため、日本人で受け付けない人も多数いるだろう。
メニュー名は「野菜つけ麺」なので、躊躇いつつつけ汁の中にこの野菜炒めを投入して味わう。つけ汁の風味と混ざりあって、野菜炒めの脂の臭いが主張する。完全にジャンクフードだ。でも、それが面白い。
このお店の野菜つけ麺の面白さは、完成された組み合わせのつけ麺を冒涜するように、全く別の風味の野菜炒めを投入するというサスペンスなのだと思う。結局混ざりあった味が素晴らしいかというと、それは人の好みによるだろうが。
このお店はこのように、面白がりながら食べるところだ。それは個性であってよろしいと思える。「野菜足りてる?」というキャッチフレーズはヘルシー志向を思わせるが、脂っこいこともあって、決してヘルシーなメニューではないと思う。ジャンクフードにつき注意されたし。
(追記)
閉店したみたい。
コメント