ららぽーと海老名のオープン決定以来、JR相模線海老名駅の北側、海老名市扇町地区の開発が止まらない。小田急・相鉄側にビナウォークしかなかった頃、あるいはビナウォークすらなかった頃の海老名駅周辺を記憶している人が居たらビックリするだろうが、いまや海老名駅は田圃の真ん中にポツンと存在する駅ではないのである。かつてスーツに身を包んだリコー社員が田圃の間を縫って通勤する姿は遠目に大変微笑ましかったが、現在ではリコーのビルまで続く道にエビーロードとかいうふざけた名前が付いて、オシャレな飲食店の集まる街となっているのである。
エビーロード沿いに醸造所付ビアパブができました
JR海老名駅の足下、エビーロードの始まりには海老名の領主えび〜にゃのカラフルな像があるので、五体満足で帰宅したかったらまず拝んでおいた方が良い。
そのエビーロード沿いに、今年2月からオープンしていたビアパブがEBINA BEERだ。周囲ガラス張りの店内にカウンター12席&テーブル18席で、ビールは常時8タップを揃える。海老名駅周辺としては初のビール専門パブではないかと思われるが、土曜日には14:00からオープンしており(とは言えオープン以来営業時間はコロコロ変わっている印象があるので最新情報をFacebook等でチェックした方が良い)、クラフトビール以外にもコーヒーやスイーツも楽しめる。
テナントスペースのうち半分くらいは、海老名市初のクラフトビール銘柄”EBINA BEER”として醸造をするためのビールタンク等によって占められている。このお店を開いたご夫婦の夫の方(トーマス・レハクさん)はチェコのプラハ国立歌劇場でチューバ奏者として活躍されていたらしいのだが、醸造所付ビアパブを新たに日本で始めるため海老名に移住した。そして先述のとおり2月より店をオープンしていたわけだが、醸造所設備の電気工事が上手く進まなかったり、日本での醸造許可がなかなか下りなかったりと、当地での醸造までには足踏みが続いた。オープンよりおよそ半年間については、同じチェコ出身醸造士が石川県で醸造する日本海倶楽部のビールが提供されるお店であった。まあこの日本海倶楽部のビールもピルスナーの本場チェコらしく素晴らしいビールで、全く不満はなかったのだけれども。
海老名発クラフトビールの醸造&提供開始。ビールの提供温度はどうかな?
それが7月より醸造免許取得、8月の終わりよりオリジナルビールの提供が開始されたとのこと。相模川を渡る用事が無いのでいまだ純海老名産クラフトビールを味わってはいないのであるが、どうせならお店のプッシュがし易くなったこのタイミングで紹介記事を書いてみようと思い至った。したがって、以下のビール感想や写真等は真EBINA BEERの提供以前のものとして考えて欲しい。
現地での醸造開始前でも、日本海倶楽部の委託醸造という形でEBINA BEERオリジナルレシピのビールが提供されていた。それが写真のエビナラガー。記念すべきこのビアパブとの出会いの一杯であったのだが、驚いたのはあまり冷えていない状態でこれが出てきたことであった。
生ビールを氷を入れることなくキンキンに冷やして出すというのは、よく言われるように日本で見られる独特の文化で、欧州などに旅行に行ってきた人が大体現地で出された冷えていないビールにショックを受けて帰ってくるという。このお店で出てきたビールもそういうショッキングなタイプであったが、個性の強いエール(上面発酵ビール)と比べたときにラガー(下面発酵ビール)は、むしろ冷えていない状態で出されるべきものではないかと納得させられた。IPAのようにやり過ぎとも思える量のホップを投入しなくても、適温のビールであれば泡から充分ホップの香りを感じられる。それもビールの愉しみ方であるように思う。
とは言っても、上面発酵のビールも同じような温度で出てきたので、ラガーに限らずただチェコ流の温度で提供しているだけなのかもしれない。ちなみに、盛夏の暑い時期に訪問した際には、キンキンには冷えていないものの開店当初より提供温度が下がっていた。夏だけの期間限定で提供温度を低くしたのか、それとも折れて日本式に合わせてきたのかは分からない。
フード&スイーツメニュー
海老名産クラフトビールのお伴として、おつまみもにも期待したいところ。チェコ出身のオーナーと聞いたとき、おつまみなどもチェコ推しでくるのかと思っていたが、メニューには純然たる日本のビアパブのおつまみが並んでいた。ただ、変化球的なメニューもある上に大抵美味しいので、チェコビールとか自家醸造ビールとかの理屈抜きで海老名駅近辺の飲みどころを求める人にも面白いのではないだろうか。
スイーツメニューは、ビアパブでスイーツメニュー?と一瞬疑問に思うが、お酒の飲めない人でもこのお店で愉しめるようにコーヒー&スイーツがラインナップされている。コーヒーもおそらく特段チェコスタイルということではないのだろうが(トルココーヒーではない)、海老名市国分にある豆工房コーヒーローストの豆を使った一杯が飲める。
このフォンダンショコラは添えられた生クリーム含めて温度が完璧で…別に温度フェチなわけではないが、ビールの温度も含めてもしこのお店がこだわっている点なのだとしたら、海老名にこんなに面白いこだわりを持ったお店があるよ、と他人を誘い出し易いと思った。また、そういうお店が登場してきて受け容れられているのも、しがらみのない海老名らしくてとても良いことだと思った。
自家醸造ビールの感想などを追記
自家醸造が始まり、今では色々な酒場でエビナビールの銘柄を目にすることも多くなった。ビールイベントにも積極的に参加している印象があり、神奈川県内のブルワーの一つとして着実に知名度を増してきていると言えるだろう。
上のレポートでは委託醸造ビールしか味わっていなかったため、エビナビールの真の実力を量ることが出来ていなかった。そして機会あって再来店や再々来店を重ねていくうちに分かったのは、エビナビールのオススメがチェコらしいピルスナーだけに留まらず、IPAなどアメリカンなタイプのビールもイケるという事だ。
IPAは分かり易い苦さがあり、決してこのブルワーにとって不得手ではないということがわかる。ちなみにビールの提供温度は、キンキンに冷やされる形に統一したようだ。
そして、おつまみにはブルスト(ソーセージ)が登場するようになった。このブルストも期待を裏切らない逸品なので、是非店を訪れたら試してみて欲しい。
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