焙煎日本一職人が平塚に!? いつか珈琲屋

にわかに日本チャンピオンと結びつかない佇まい イベント
にわかに日本チャンピオンと結びつかない佇まい

あなたの街にもきっといるはず、日本一の人が。というわけで、あまり日本一の人を排出していないイメージもある平塚市であるが、先日平塚のラスカで野暮用を済ませ1Fの食品コーナーを見て回っていたら、期間限定で出店をしている『いつか珈琲屋』という店舗の紹介看板に、”ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ2016優勝”と記載されているのを見つけた。どうやらこのいつか珈琲屋という店、平塚市内にありながらコーヒー豆の焙煎日本一職人を排出しているらしい。

ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップは、沢山ある大会のひとつ

平塚市と日本一職人があまりにも結びつかなかったので、件の肩書きもこぢんまりとした身内向け大会のものではないかと訝しみ、その野暮用ついでのタイミングでは食指が伸びなかった。ところが家に帰ってから調べてみると、ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ(JCRC)というのはSCAJが主催する歴とした日本一を決める大会であるようなのだ。SCAJというのがコーヒー屋さんの業界団体であることは知っていたので、逆に自分自身が大会名を今まで耳にしたことがないことに驚いた。そもそもコーヒーの日本一職人という肩書きでメディア出演している人を見たことがないのに、大会なんていつやっているのだろう?そう疑問に思って、大会の開催概要などについて検索してみた。結果…

  • ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)
  • ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ(JSC)
  • ジャパンラテアートチャンピオンシップ(JLAC)
  • ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ(JCTC)
  • ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ(JHDC)
  • ジャパンコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンシップ(JCIGSC)
  • ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ(JCRC)
  • ジャパンブリューワーズカップ(JBrC)

全8ジャンル、こんなにも細分化されて大会があった!そうか、これまでコーヒー界の田崎真也みたいな存在を見たことがなかったのは、大会がものすごく細分化されており、”日本一の職人”と名乗るにはどの肩書きも単体では弱いからだったのだ。

ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップの概要

そしてその8大会の内の、ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ(JCRC)の話であるが、JCRCではコーヒー豆の焙煎技術だけを取り出して競うようだ。競技方法は出場者全員に同じ豆(名前は知らされない)が配布され、同じメーカー同じ機種の焙煎機で焙煎をして、あらかじめ提出した焙煎計画書通りの味になるかを競う(したがって、一番美味しいコーヒーを淹れた職人 = 優勝という評価方法ではない)。申し込みの方法はオンライン申し込みで、先着順で応募してきた50名の中で一旦予選を行い、その中の成績上位6名による決勝が後日に開催されチャンピオンが決定する。チャンピオンになった人は、世界大会のワールドコーヒーロースティングチャンピオンシップ(WCRC)に日本代表として出場する権利を得るらしい。へえ勉強になった。

平塚市河内にあるいつか珈琲屋の店舗

ラスカの期間限定出店では豆を買わなかったものの、コーヒー屋さん業界団体お墨付きの日本一ならばと焙煎日本一職人の豆がどうしても気になり、実際に店舗を訪れてみることにした。場所は平塚市の河内という住所。

神奈川県平塚市河内320-3

平塚市内といっても、ほとんど大磯の裏というような印象である。小学校の周辺に商店街というほどでもなく商店が固まった小区画があって、その中で本当に地元の店といった佇まいで、いつか珈琲屋の建物がある。

いつか珈琲屋、この角を入る

いつか珈琲屋、この角を入る

にわかに日本チャンピオンと結びつかない佇まい

にわかに日本チャンピオンと結びつかない佇まい

店の前面に大きなガラス窓があるので、外から店内を覗くことができる。たまたま店内を切り盛りしていたのは、チャンピオンの近藤啓さんではなくまた別の男性スタッフの方であった(外国からの留学生の方にも見えた?)。扉を開けて目の前には作業台のようなテーブルがあって、コーヒー抽出に使う器具などが置かれている。その奥には焙煎後の豆が種類別に大瓶に入れられており、店の左側壁面にはそれぞれの豆の味の傾向などが図で示されている。一方右側はレジと、その場でコーヒーをテイクアウトできるミニコーナー。客の立ち入りが出来ないさらに奥の方は焙煎機が置かれた作業場で、そこから焙煎中の良い香りが漂ってきている。いやこれは本当に、何時間でも嗅いでいたい良い香りだ。
店内は照明の色などに暖かみがあって、いわゆるサードウェーブ系の無機質な店とは対極にあるようだった。店の雰囲気や『いつか珈琲屋』という不思議な店名も含めて、辻堂の27 coffee roastersを紹介した記事での分類に従えば旧来的な街の焙煎豆専門店である。それでいてサードウェーブ系の店なら喉から手が出るほど欲しいであろう日本チャンピオンを排出しているというのだから、世の中よく分からないものだ。いやむしろ、情報アンテナ・コネクションを店の強みとするサードウェーブ系に対する、技術を売りにする街の焙煎豆専門店という図式がはっきり出ていると言うべきなのか。

JCRC2016決勝の豆Top of Japanを購入

どの豆を選んで良いのか、咄嗟には判断が付かずウロウロしていると、店の目立つ所にTop of Japanという名称で日の丸の描かれた瓶を見つけた。このTop of JapanがまさにJCRC決勝で近藤さんが提出し1位の評価を得た豆と同規格で焙煎した豆らしい。

Top of Japan 日本のトップである…

Top of Japan 日本のトップである…

いつか珈琲店のシール

いつか珈琲店のシール

店が前面に出している焙煎日本一職人の、日本一になった時の焙煎豆を買って味わうのだから、このお店について評価をする際のある意味での正解なのだろうけれども、よくよく考えてみるとJCRC決勝はコーヒーの味を競う大会ではないし、豆についてもこのいつか珈琲店の目がかかって厳選され輸入された豆というわけではない。ただ大会のお題として無作為に選ばれたものだ。そういう視点から言うならば、初めて買う豆は別の豆にした方が良かったのかもしれない。
というのも、家に帰ってこの豆を使って淹れたコーヒーが、今まで飲んだどのコーヒーよりも群を抜いて美味しかったということはなかったから。淹れ方を変えて色々試してみたけれど、日本一のクオリティに唸らされる体験は無かった。この辺り、先程も書いたけれども味を競う大会の日本一ではないことが関係しているのだろう。勿論、後味まで長〜く続くほのかな甘い香りなど随所に気に入った部分はあったけれども。
だから、また次の機会に別の豆を買ってみて、改めてこのお店を評価できたら良いなと思った次第。

そんないつか珈琲店は、湘南T-SITEのイベントにも参加

平塚市の河内の店舗まで出向くのは億劫だという人でも、以前紹介した辻堂にある湘南T-SITEでたびたび行われている、サードウェーブ系コーヒー業界そうそうたる面子によるイベント、”Shonan Coffee Times”にこのお店が出店していることが多いので、そこで出会いを求めるのも良いかもしれない。近々の開催は、11月3日(金・祝)〜11月5日(日)に行われる、”Shonan Coffee Time Vol.3″。
このイベントでは1000円チケットで5店舗の試飲が出来るので、色々な店舗のコーヒーと一緒に、平塚の日本チャンピオン焙煎の豆を試す良い機会となるかも。

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