今年もゆるキャラグランプリの季節がやって来た。正確には、既にやって来ていた(8月17日投票開始)。
本来は誰の得になるのかわからない”ゆるい”イベントであったはずのゆるキャラグランプリだが、宣伝に広告代理店がガッツリと噛み始めてからというもの、個人的な興味も減衰してしまって。ようやく今頃になって投票が開始されているという事実に気付いたというわけだ。
あゆコロちゃん・えび〜にゃなど不出馬
ゆるキャラグランプリ2015の存在に気付かなかったのは、身近なところで投票呼びかけが行われていなかったからということもある。毎年全国ランキング10位以内、そして神奈川県1位の座を獲得していた厚木市のあゆコロちゃんが、今回は出馬を見送った。そしてあゆコロちゃんを猛追する立場で、昨年は疑惑のスタートダッシュで一時2位にもつけた海老名市のえび〜にゃも、その勢いを活かすことなく出馬を見送っている。このように神奈川県自治体のゆるキャラ戦略を後押ししていた2大巨頭が不出馬となったので、神奈川県民にとって今年のゆるキャラグランプリは、全く盛り上がってないグランプリという印象になっているのだ。
『ゆる党』。徒党を組んでふっかちゃんを後押し
一方、神奈川県以外ではアツく盛り上がっているところもある。昨年全国2位につけた埼玉県深谷市のゆるキャラ、ふっかちゃんは、今年が最後のグランプリと宣言し、退路を断って出馬している。そして、昨年結成された栃木県佐野市のさのまる、岩手県陸前高田市のたかたのゆめちゃん、茅ヶ崎市のえぼし麻呂、そしてあゆコロちゃん・えび〜にゃ・ふっかちゃんと合計6キャラクターによる『ゆる党』は、ふっかちゃん以外が今回のグランプリの出馬を見送って、TwitterやFacebook等のメディアでふっかちゃんへの投票を呼びかけている。
ゆるキャラ界が政界の縮図に?
確かにゆるキャラグランプリ1位の肩書きに比べれば、10位以内とか中途半端な順位は役に立たない。昨年全国順位を6位から9位に落として、トップを取らぬうちから飽きられ始め、10位も怪しくなった感のあるあゆコロちゃんだからこそ、党の方針での出馬辞退もすんなり受け容れられたのだろう…
と、ここまで書いてきて違和感。”党の方針で出馬辞退、候補者の一本化”や、”今回を最後に引退宣言で出馬”など、いかにも政治家がやりそうな選挙戦略が、ゆるキャラグランプリにおいても採用されていることに気付いた。つまりグランプリにおけるゆるキャラの立ち回りというものが、彼らのボスである各自治体の政治家のそれそっくりに変容し始めている!むしろ地方議会からのちのち国政に打って出る政治家もいることを考えれば、このゆるキャラグランプリ自体が何かの前哨戦や、模擬選挙のようにも見えてくるのである。
ということで、ここ数回のゆるキャラグランプリが広告代理店の大々的関与により大幅に姿を変えたのと同じように、これからは国政に食指をのばす地方政治家が、協力関係の構築や対立候補の取り下げなど、ゆるキャラを政治カード化として用いるようになり、グランプリの性質はさらに変わっていくのではないかと予想する。そうなると最早ゆるキャラの優劣を決める大会でもなんでもないし、ゆるキャラの応援自体が空しくなってくるよね、と醒めてしまう。
ゆるキャラの”ゆる”
ゆるキャラの”ゆる”は何なのだろう?とこれまで論じられることもあっただろうけれど、今回の『ゆる党』の動きなどを見ると、選挙で有権者に思考停止させて投票させるためのツールというポジションに収まるべくして収まったんじゃないかなと感じている。もし住んでいる自治体のゆるキャラがグランプリをとったら、その時の首長はそれを実績として売りにするだろうし、そうしたアピールに対して有権者は”ゆる”〜く流されてしまうんじゃないだろうか。ゆるキャラをとおして、通常の投票アピールが届きにくい層からの支持を見込める、と考えているのではなかろうか。
肝心のゆるキャラ自体やファンはどう思うの?
そんなわけで、あゆコロちゃんやえび〜にゃが今回不出馬を選んだということに、対象の自治体の住人やファンがどのような感想を持っているのか、気になるところだ。
不出馬とか候補の一本化とか、あからさまにゆるくない選挙戦略を、「ふっかちゃんは友達だから応援するBoo〜!」とか、「”#ふっかちゃんをてっぺんに”にゃ!」とか”ゆる”くコーティングしようとしているところが滑稽に見える。ゆるキャラ好きはもっと腹を立ててよい!
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