茅ヶ崎市で4月に行われた、湘南祭。湘南茅ヶ崎のサザンビーチで、茅ヶ崎市民が特に理由もなく盛り上がる祭なのだけれど、なかなかどうして賑わっていた。茅ヶ崎市民はみんなお祭り好きということなのだろう。
その湘南祭レポートでは、砂の上で晒し首となっていた茅ヶ崎市のゆるキャラ「えぼし麻呂」だが、同時に生きた個体も観察する事が出来た。もしかしたら代替わりがあって、先代は首を晒されるという宿命があるのかもしれない。もののあはれ。そんなやまとごころを体現したようなキャラクターえぼし麻呂について、紹介の筆をとろう。
えぼし麻呂基本スペック
名称 | えぼし麻呂 |
出身 | 不明(茅ヶ崎市?) |
活動開始日 | 2010年春 |
モチーフ | えぼし岩・貴族 |
ゆるキャラグランプリ 最高成績 |
80位 |
えぼし麻呂備考
誕生は2010年の春。元々はケーブルテレビの市広報番組のPRキャラクターとして産み出された。デザインしたのは、茅ヶ崎市消防局の職員だという。商魂逞しい最近のゆるキャラとは異なった力の抜け具合は、こういった出自に由来するだろう。
えぼし麻呂のえぼしが何故茅ヶ崎市に関係するのかというと、えぼし岩という沖合にある岩が茅ヶ崎の象徴であるため。えぼしだから貴族にしよう→貴族だから麻呂にしようという実にストレートな発想から生まれたキャラクターだ。ちなみに、ちがさ貴族という身分であるらしい。
登場時には相方として波の形をしたミーナというキャラクターもいたのだが、えぼし麻呂単体で着ぐるみができ単体営業を始めたので、ミーナの影はどんどん薄くなっている。
えぼし麻呂の写真 於湘南祭2014
湘南祭に現れたえぼし麻呂は、貴族の身分でありながらこのような大衆的な祭に引き出された事に当惑していた。ギラギラと照りつける太陽が、やがてこの地で行われる残酷な出し物を象徴しているようであった。
貴族制は崩壊し、いまや茅ヶ崎は民衆の民衆自身による統治がされることとなったのである。その象徴として行われる、民衆自身の手による貴族の処刑。断頭台へと向かうちがさ貴族の足取りは重く、表情は蒼白、まるで作り物のようにはりついたままであった。
民衆は熱狂した。思えば湘南祭というこの催し、つい一週間前に行われた大岡越前祭という身分制社会の象徴のようなイベントに対する民衆の鬱憤が募って開催されるに至ったものだ。民衆が勝ち取ったこの祭、「パンがなければおかしを食べればいいぞよ」などと暢気な事を言っていたえぼし麻呂は、あわれ旧体制の象徴としてここサザンビーチの見せ物にされてしまったのだ…
こうして見ると、砂の土気色が妙にリアルだな(笑)。