あらかじめ断り書きをしておくことは大変重要だが、厚木以西の味覚で書いた通り、厚木以西のグルメは大抵塩辛い。正確には、私にとって塩辛いということで、実際に厚木以西の人達からすれば、それも馴染みの味だろう。しかし、私がレビューしようとするとどうしても塩辛いという感想が出てくる。したがって、何か厚木以西で食したことがあって、塩辛いんじゃない?と思ったことのある人にとって参考となるレビューしか書けない(小田原系のラーメンが試金石かな)。
手打ち蕎麦信玄のあった鶴巻温泉駅から、さらに小田原よりに一駅進むと、東海大学前という駅に着く。その名の通り東海大学の最寄り駅で、駅の南側には飲食店が並ぶ通りが伸びている。
今回食べに行ったのは、にぎやかな南側とうってかわって寂しい駅北側を、小田原側に徒歩5分ほど歩いたところのラーメン屋。小田原方面に電車で行く用事があると、進行方向の右手にこのラーメン屋が見えるのである。
「麺や道楽」という力強い書体に加え、木製のログハウスのような店構え、のぼりなど、いかにも濃厚魚介系つけ麺でも出していそうな雰囲気だ。しかし、のぼりに書かれているように、やまと豚を使った豚そばが看板メニューのよう。そうした意外さもあって、チェックしておきたい店の中に入っていた。
店の中に足を踏み入れると、ご夫婦らしき店員と、先客が一人。先客の方は常連だったらしく、ご夫婦との近況の会話が弾んでいる。豚そばを注文してしばらくは、この常連話を聞き続けていたような気がするが、常連客が帰ってしばらく経つと、注文の品が目の前に置かれた。
見た目は少し個性的だ。自家製麺、無化調というのは後で知ったことだが、とにかく細くもなく太くもない、縮れてもいない麺や、パッと見た感じで何系のスープと当てることのできない濁ったスープ、それにこの店の売りであろう豚のとろりとした感じなど、何系とも言えないような雰囲気だ。
けれども、味に唸らせるものがあるかと期待すると、裏切られて少々残念な気持ちになる。麺の個性は、特にスープに合わせて個性的な形状になったわけではなさそうである。汁と絡まず、ソフト麺を啜っているような感触に。スープの味は、無化調ゆえの単調さを、あらかじめ加えたニンニクでパンチを出している感じだが、これが単調さを強調してしまっているような気がする。そして、塩辛い。スープを全部飲むのは躊躇われる。
売りであるやまと豚も、印象に残らなかった。食べながらの感想は、丼って以外と深いんだなというもの。本当に、麺かスープのどちらかが絡むように、歩み寄りが欲しいところ。
新しめに見えるこの麺や道楽だが、実はオープンは2007年と以外と歴史が長く、当初は煮干し系中華そばの店だったらしい。店主が代わり、豚そば中心に変更したとか。確かに、コテコテどろどろの煮干し系なら合いそうな麺なのかな、と考えつつ店を後にした。
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