秦野市で毎年3月になると行われる、秦野どぶろく祭り。祭の規模としてはとても小さく、町内会祭りレベルではある。けれども、①どぶろく祭りという、首都圏においては珍しい祭であること ②合計3日間、秦野市内の3会場で行われる祭であること ③小田急線の駅のポスターや、秦野市観光協会HPで紹介されていたりと力を入れてPRされている ④とにかく酒が飲みたいな などの理由で、当HPでぜひとも紹介をする必要があると思い至った。
秦野どぶろく祭りの概要
秦野どぶろく祭りを主催しているのは、NPO法人四十八瀬川自然村。酒匂川水系の四十八瀬川(小田急小田原線渋沢駅〜松田駅間で線路に並走しているのが見られる川である)上流で、環境保全や自然農法による作物の栽培、体験学習教室の開催などを行っているNPOである。作物の栽培と体験学習とのことであるが、休耕田を活用して栽培しているのが酒米の五百万石。収穫が終わった五百万石は秦野市内の酒蔵、金井酒造店で仕込み米となって最終的にはどぶろくの『秦野てんてこまい』が出来上がる。それを一般の方々に振る舞ったり販売したりするのが、秦野どぶろく祭りというわけらしい。
ちなみに、厳密に言うと、この『秦野てんてこまい』というのはどぶろくではないらしい(参考:どぶろくと濁り酒の違いについて調べてみた)。実際振る舞い方法を見てみると、酒樽のような容器に酒を満たしてそこから汲み上げているのだが、樽の中身が足りなくなってくると瓶詰めされた『秦野てんてこまい』の封を切ってドボドボ注ぐというものだった。樽はあくまで飾りです(笑)。
秦野駅北口 まほろば大橋で
2017年のどぶろく祭りは3月5日(日)・3月11日(土)・3月12日(日)の3日間の日程で行われた。初日は秦野市沼代というところにある御嶽神社境内(四十八瀬川のほとりにある)で行われ、2日目は小田急小田原線秦野駅前のまほろば大橋、3日目は渋沢駅前の北口広場で行われたようだ。2日目のまほろば大橋での回に行ってみたのだが、イベント開始の樽開きに秦野市の市長が来て挨拶等していた。そういえば秦野市役所は、秦野駅の近辺にあったはずだ。
挨拶の内容で、「後の人が飲む分がなくならないよう、おかわりは程々にして欲しい」的な釘を刺されたので、結局無料の振る舞い酒は2杯飲んだだけだった。はるばる秦野駅までどぶろく祭りを目当てに来て、あんまり元が取れていないような気がする。登山装束の団体客がいっぱい来ていたが(登山前に飲酒して平気なの?)、彼らのように何か別の目的のついでに参加するべきイベントだったのかもしれない。
どぶろくの味と模擬店・物品販売
というわけで、小さい盃に2杯のどぶろくで判断した味。非常にストレートな味わいで、癖が無い。炭酸感がほとんど無く、スッと飲めてしまう。
どぶろくの振る舞い以外にも模擬店が出ており、焼きそばにうどん、搗き立ての餅(きなこ・あんこ)、焼き鳥が出ていたと思う。焼きそばと餅は150円、うどんは1杯100円と値段はやはり町内会まつりのように良心的であった。本当に、何かの目的のついでにこのどぶろく祭りに遭遇した人は得をしたと思う。
物品販売では、『秦野てんてこまい』の他四十八瀬川自然村産と思われる農作物・加工品を売っていた。こちらもお土産としては良心価格。ただ梅干しを購入したのだけれども、個人的にこれがおそろしく塩辛く感じて、厚木以西味覚の洗礼を受けることとなった。
太鼓やパフォーマンスもあり
どぶろくの振る舞いと同時に、和太鼓の演奏やサッカーボールを使ったパフォーマンスなどの演目も行われていた。それぞれが短いものなので、日に何度か繰り返し行われるものなのかもしれない。まほろば大橋の上は交通の要衝というわけではなさそうだったけれども、太鼓の音を聞きつけてやってくる人もいたかも。
総合的に見て、どぶろく祭りとしては少し消化不良な感があった。関東地方では珍しく競合が少ない催しだと思うので、今後も3日制の、宣伝に力点を置いたコンテンツとして続くならもっと大袈裟なイベントにしていってもらいたい。そう思った。
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