なくなりそう、なくなりそうと言われ続けて、なかなかなくならない店というものがある。繁盛し続けているから営業を続けられるのであり、その点においてはなくなるのではないかと予想した自分の読みが甘かった、ということになるのだろうが。
厚木バスセンターの背後にあるラーメン相楽
厚木バスセンター。小田急小田原線、本厚木の駅からなかちょう大通りを通って200〜250m程歩いた所に、バスの停車場が沢山集まったロータリーがある。本厚木駅前にバス停が集中して通行の妨げとなっていた状態を解消する為に、1984年に本来そこにあった厚木小学校をどかして作ったものだ。
なにしろ作った当時は、青山学院大学やら昭和音楽大学やら学校がいっぱいあって、バスの需要もあった。というより、青山学院大学厚木キャンバスをほぼバスでないと行けないところに開校したのが、バスセンターを作った一番大きな理由だったりするのか…それが今では、件の2校は厚木を去って、バスセンターの必要性が果たしてまだあるのか定かでない。
厚木バスセンターの背後には自転車用の駐輪場があって、その中にポツンと浮島のように存在しているのが、今回紹介するラーメン相楽だ。
このとおり、見映えが良いとはお世辞でも言えない。相楽の看板の横には、文字がすっかり剥げてしまっているが、おそらくホルモン屋がそこにあったのだろうなという痕跡が見て取れる。
あまりにもポツンと残っているので、バスセンターと駐輪場関連の用地買収をしたときに、条件が折り合わずここに残ったのかな…?と推察する。このお店、閉店するのではないかという情報がしきりに流れるのだが、一向に閉店しない。
あんかけもやしそば 中華屋の矜持を感じた
店内に入ると、地元感、そして加齢感もある客層が。そして目を引くのが、壁側にくっついている一枚板のカウンター席と、本棚に収められた漫画の数々。どれも読み回された雰囲気があり、ちょっと油でベトベトする感もある。店内のラインナップをひととおりさらってみたけれども、見事に読みたい漫画が無い。ラインナップが硬派です…
店内の短冊に書かれたあんかけもやしそばを、しょうゆ味のピリ辛で。ライスが付けられるというので付けて注文する。メニューにはもやしラーメンも同じ値段(600円)で載っているけれども、はたして両者同じものなのか。
というわけで、ライス付きのあんかけもやしそばがやってきた。写真を見ていただければわかるだろうが、ラーメンの上にあんかけもやしが乗って、器のフチの部分にピリ辛(ラー油)が回し入れられている。この雑でない仕事に、少し感動してしまった。
実際食べてみると、あんかけもやし部分は中華屋に期待するもやし炒めで、ラーメン部分は特別にうまいというわけではないのだが、あんかけとピリ辛とラーメンスープが完全に分離して、ごっちゃになっていないというところが素晴らしい。その3つの味を混ぜて食べる最終的な権限は客側にあるのだ。あるいはあんかけをライスに乗せてみても良いし…とにかく丁寧な仕事が、食べ方での楽しみを増やしている!
なくなってしまうかもしれないには違いないのだけれども、なくなったら困るよ…という気持ちに引き止められて営業を続けている店なのかもしれない。確かに、他のメニューでどのような丁寧な仕事がされているのか気になるもの。というわけで、本厚木の有名ラーメン店に2回、3回、4回と通って決まりきったメニューを食べるくらいならば、一度くらいは体験してみてほしい店。
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