花火大会といえば、大体夏の始まりから秋の終わりにかけて行われるもの。勿論年越しカウントダウン花火のような例外もあるが、それにしても花火はあくまで脇役で、花火”大会”ではない。
ところが、その花火が主役の大会を、こともあろうに4月に行ってしまうという催しがある。それが『いせはら芸術花火大会』。果たして4月の花火とは如何なりや。2014年4月12日に行われた第4回大会を取材してきた。
いせはら芸術花火大会とは
この大会、名前に”芸術”がついているということで、何かアートやパフォーマンスのようなニオイが感じられるかもしれない。自称アーティストが出てきて、自己満足的な興行を自治体の助成金で行うといったような。
ところが、実態は対極にある。伊勢原市で最高クオリティの花火を見たい!という有志の花火マニアが集まり、市民から協賛金を集めて実現してしまったという、規格外の行いなのである。
そもそも発起人の花火マニアと、協賛金を出した市民のチェックの目が光っているので、独りよがりでつまらない花火は打ち上げられない。とにかく最高のクオリティの花火を(玉数を少なくしても)打ち上げるという目的で、内閣総理大臣賞を受賞した愛知県の磯谷煙火店を呼んでしまっている。磯谷煙火店も特大規模の大会ならいざ知らず、市民協賛型大会に呼ばれるとは思ってもみなかっただろう。これが関東では初の参加大会ということになった。
いせはら芸術花火大会これまでの開催
第1回が開催されたのは2009年。当初は湘南いせはら芸術花火大会という名称で、会場も伊勢原市の水田地帯で行われたという。4月開催なのは、花火大会の少ない時期を狙って集客を見込んだということもあるが、実は第1回大会で水田を田植え時期前で使えたからという事情もあるようだ。
その後、2012年に第2回が行われる。会場を伊勢原市の総合運動公園に移して、花火の玉数も2000発にパワーアップ、依然として市民協賛型ながら、伊勢原市をあげてのイベントという形が整ってきた(名称からも、”湘南”がとれる)。2013年に続いて第3回を開催、そして2014年に玉数が2500発に増え第4回開催となった。
第4回いせはら芸術花火大会に行ってきた
第4回が行われた4月12日は、快晴ではないものの花火には十分な晴れであった。会場の伊勢原市総合運動公園は、小田急小田原線の伊勢原駅から北に向かったところ。実は、伊勢原駅から厚木七沢温泉へと向かう道の途中にある。
野球場などもあるが、至って普通の運動公園である。グラウンドにイベント用ステージと観覧席を設けて、野球場側から花火を打ち上げるという形であった。
桜の花は丁度散ってしまったところであった。その代わり、公園内で春の訪れを告げる花がいくつか咲き始めていた。
公園内には屋台が20〜30店ほど出店されていた。絶滅したと思われた(伊勢原市内でもうノボリは見かけない)、伊勢原市のB級グルメ豚ティーヤを出している店が多かったのが印象的だった。原価率が良さそうなので、こういうイベント屋台のメニューという形で生き残ることが出来たのかもしれない。
開幕1時間前になると、不人気だった屋台にも大行列が出来るほど。売り切りのための値下げタイムは無いので、昼の表示価格で買っても損はしない。
トイレの列も20分待ち状態であった。もよおしてから列んでも多分間に合わない。
開幕。花火に感動(写真は少ない)
18:30頃からステージ上でのトークが始まり、実際に打ち上げられるのは19:15頃からであった。花火鑑賞士という肩書の方の解説付きで、次にあがる花火がどういった種類のものか説明してくれるので分かり易い。大規模花火大会だとメリハリなく夜空を花火が埋め尽くしているわけだけれど、予算も限られている大会ということで、1発ごとの解説が聞けて逆に新鮮であった。
協賛型花火大会だが、無料観覧席も用意されている。グラウンド上の無料観覧席が埋まると、駐車場へと誘導される。会場に着いたのは打ち上げの数時間前だったのでグラウンド席をとれたのだが、一人当たり占有できるスペースが少ないグラウンドで正面にあがる花火を観察すると首を痛めるのではないかと思ったので、あえて斜めにあたる駐車場で鑑賞した。そのため花火の写真には余計な樹木が映っているわけである。
見所はメロディー花火
磯谷煙火店が商標として登録している、メロディー花火あるいはメロディースターマイン。これはBGMと同期してタイミングよく花火が打ち上げられる仕組みで、玉数の限られた小規模花火大会にうってつけの仕組みではないかと思う。今年はジブリ映画のBGMが選ばれていた。確かにBGMのタメからの盛り上がりに花火がシンクロしていて大変気持ちよかった。
そして、500発玉数が増えた効果なのか、花火自体にボリューム感があった。実際に漆黒の空から瞬間周囲の山並みを浮かび上がらせるほどの光量があった。こういった規模の花火を間近で見られるのだから、大規模大会で味わうことの出来ない、花火本来の感動も味わえるというものだろう。
折角のメロディー花火を記録するためビデオを回していたので、残念ながら写真は無い。是非来年以降現地で観覧して確かめて欲しい。
もう来年以降の協賛も受け付けている模様
会場では、既に来年以降の大会の協賛も受け付けていた。第1回大会の開催は2008年の予定が翌年繰り越しとなり、第2回の開催までは3年の間が空いた。毎年コンスタントに開催が約束されている大会というわけではない。
協賛の形は、協賛者席がとれるのが2500円以上の寄付だが、それより小額でも寄付を受け付けている。微力でも協力をして、自分が協力した花火が空に打ち上げられるという図を見て悦に入るのが正しい楽しみ方なのではないかと感じた。
ホームページは移転することも多いので。最新情報などはFacebookでチェックするのが良いだろう。
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