足柄上郡中井町という小さな町がある。面積は20㎢ほど。総人口は1万人に満たない小さな町で、東名高速道路の秦野中井インターチェンジ(の一部)や、中井パーキングエリア等で多少の知名度がある以外は、あまり知られていない自治体ではないかと思う。
そんな中井町の観光資産と言えば、大磯丘陵の北側斜面に関東大震災の結果出来た、震生湖という湖がある。だが、この湖のある場所は秦野市との境界でもあり、首都圏からのアクセスは秦野方面から入る方が圧倒的に便利であることから、中井町の名所としてアピールをするには弱い。そこで、町おこしのためにも中井町独自の観光資源をこさえる必要があった。そしてでき上がったのが、厳島湿生公園である。
厳島湿生公園とは
そもそも中井町という名前は、大磯丘陵に中村川や葛川が流れ込み形成された段丘に存在した、中村と井ノ口村という2つの村の合併により出来たものだ。このうち井ノ口村というのは、その名前の通り葛川の水源が湧き出すことによりつけられた名称であり、厳島湿生公園がある場所も元は潤沢な湧き水を水田にして利用していた。地形を見ると面白いことになっていて、湿生公園のあたりだけ不自然に窪んでいる。
この窪地をそのまま湿地の生物を楽しめるビオトープにしてしまおうというのが、厳島湿生公園のコンセプトだ。
厳島湿生公園は雰囲気がイイ
厳島と名前につくだけあり、湿地の中心の島には地元で”弁天さん”と呼ばれる厳島神社がある。神社なので鳥居をくぐり、参道を辿っていくと、社殿のある湿地帯までの階段がある。神社の全容を見下ろしながら階段を下りていくというのがなんとも新鮮だ。
湿地帯の上には木造の橋が渡してある。手すりも無いため落下の危険性があるが、その分湿地に生きる生物を顔を近づけて観察することも出来る。ヤゴや蛍にどじょう、カワセミなど。にぎやかな生物相をもったこの湿地こそが、中井町が誇れる観光資産ということなのだろう。
厳島湿生公園 竹灯籠の夕べ
そんな厳島湿生公園が一年で一番輝く時が、蛍の飛び交う季節に行われる竹灯籠の夕べだ(桜の季節が次点なのかな)。竹林から切り出した孟宗竹を灯籠に見立てて、公園中に灯をともす。午後6時のまだ空が明るい頃合いに始まり、午後8時、日没後あたりがすっかり暗くなるまでともす。竹灯籠の灯が消されると、蛍がその代わりを勤め上げるかもしれない。そういったロマンチックなイベントである。
平成26年竹灯籠の夕べ概要
- 開催日時
- 平成26年5月24日18:00〜20:00
- アクセス
- 神奈川県道71号秦野二宮線 秦野中井ICより車で5分
または神奈中バス「秦野駅南口-二宮駅北口」路線「北窪入口」バス停下車徒歩1分 - 公式サイトリンク
- 厳島湿生公園 竹灯篭の夕べ
灯籠だけではない
当日は竹細工の販売や飲食店ブースも出るそう。また、午後1時より参加すれば、My灯籠を作れるらしい。昼から行って、手作りイベントの一部始終を見るというのも楽しみ方だろうか。
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