不動産の広告などでよく見かける、「駅徒歩○分」の表示。あれは業者が数字を適当に決めることができるわけではなく、物件の一番駅に近い部分から駅までの道のり(直線距離ではない)を、80mを1分換算として割った時間にしないといけない。そして、80m未満の場合は切り上げで1分にしなければならない。したがって、「駅徒歩0分」の物件というのは、あり得ないということになる。
では、マンションと駅がくっついていたらどうなるのか。この場合は「駅直結徒歩1分」のように表示する。地下鉄駅なんかだと、駅の直上にタワーマンションが建っているケースがあるので、そこまで珍しくはない。
でも、今回紹介する駅は地上駅だ。そして、明らかに駅舎がマンションの一部になっている。駅を利用する際には、一言「お邪魔します」と言わなければならない気持ちになる駅、大雄山線の五百羅漢駅だ。
まず、大雄山線という路線の知名度がそこまで高くないかもしれないので、そこから説明しよう。伊豆箱根鉄道大雄山線は、小田原駅を始点に北上し、大雄山最乗寺の最寄り駅大雄山駅までの9.6kmを結ぶ。この路線が出来たのは1925年。隣を並走する小田急小田原線が出来たのが1927年だから、それとほぼ同じような時代に出来たことになる。
最乗寺自体が幾分マイナーな観光名所であるため、一見利用者数もあまり多くない路線のように思えるが、実際は沿線が小田原市のベッドタウンと化しており、1時間5本程の運行がある。
それで、その大雄山線の五百羅漢駅。1989年に駅舎を改築したのだが、その際に4階建てマンションを併設して話題になった。伊豆箱根鉄道所有のこのマンション、名称は五百羅漢ハイツ。
500 rakan stationと書かれたエントランスがまぶしい。どうみてもマンションのエントランスだし、改札窓口などは管理人室にしか見えない。
大雄山線では他にも、和田河原駅に似たようなマンション併設駅舎がある。デザインもそっくり。こちらの名称は和田河原ハイツ。
エキナカ物件と言うと格好良いのではないか。最近京王井の頭線の池ノ上駅に同様のデザイナーズマンションが出来たというし。伊豆箱根鉄道は時代を先取りしすぎていたのかもしれない。
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