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御殿場市名物みくりやそば 御殿場駅の桃中軒にて

公開日: : グルメ, , ,

御殿場線の梃入れ企画第2段!御殿場市の名物を見つけようという企画。案外あっさりと見つかった名物は、みくりやそばというB級にするには畏れ多い名前のグルメだった。

地名「御殿場」と「みくりや」

御殿場市の名前の元となったと御殿場というのは、一体誰の御殿のことなのだろう?なんとなく、富士山が聖山であることはわかるから、その登山口の一つである御殿場も、富士山に関係した御殿のことだろうと早合点してしまう。
ところが調べてみると、御殿場の御殿が表しているのは、徳川家康の御殿のことであるらしい。徳川家康が息子の秀忠に将軍職をゆずった後に、静岡の駿府城で隠居生活を送っていたことは有名だが、静岡と江戸との往還の際に休息を取ったり、趣味の鷹狩りを行ったりといった用途のために当地に御殿を建てたそうだ。結局御殿は家康に使われることなく、建築を命じた家康自身が亡くなってしまうのだが、死後に駿府の久能山東照宮から日光の東照宮に遺体を移す際に、一時的に遺体が安置されたらしい。
ともあれ、この御殿を建築するために職人の街が作られ、それが御殿新町と呼ばれる街となり、現在の御殿場市の基礎となったようだ。

では、みくりやについてはどうだろう。みくりやは漢字で書くと御厨。エラい人が食べる食物を生産する場所のことである。そのエラい人は徳川家康のことではなく、伊勢神宮である。10世紀頃に当地が伊勢神宮の荘園となったことで、御厨地方という呼び名もまた使われるようになったというわけだ。
行政区分の名前としては、維新後に御殿場村という村が出来、明治22年にはこの御殿場村が合併により御厨町になる。御厨町が今度は大正3年に御殿場町に改称と名称が揺れ動く。そして戦後の昭和30年に周辺の村を吸収合併して、御殿場市へと昇格したようだ。明治22年に一時的に行われた改称は、維新の後に、前支配体制の創設者である徳川家康ゆかりの名前を嫌ってといういきさつなのかもしれない。

みくりやそばとは

御殿場市のグルメが御殿場そばではなくみくりやそばとなっているのは、なんとなく通俗的でない雅やかな名前だからだろうか。御殿場という名前で一番最初に思い浮かべるのは、御殿場アウトレット。御殿場そばという名前にすると、アウトレットモールのフードコートで出てくる料理のように聞こえてしまう。
ただ、蕎麦の調理法に伊勢神宮の荘園であった雅やかな歴史は関係なく、みくりや地方の民衆に親しまれてきた、どちらかというと通俗的な蕎麦の食べ方であるらしい。
みくりやそばと認定されるためには、いくつかの基準を満たしていないといけない。みくりやそばの普及団体、あなたのそばで振舞隊というページによると、以下の3点が基準となっている。

  1. 麺に山芋・自然薯を使用
  2. 麺は自家製もしくは御殿場市内で製麺されているもの
  3. 製麺時の水ないし汁に御殿場市内の水を使用

みくりやそばの特徴はこれだけではなく、具に鶏肉と人参としいたけを使用し、汁は甘く味つけたものをおおむねみくりやそばと呼ぶようだ。

御殿場駅の桃中軒にてみくりやそばを食べる

みくりやそばを出している蕎麦屋は、調べると御殿場駅周辺に結構あるようである。ただ、2、3店を除いては駅から結構歩くところにあるようで、目抜き通りらしきところにある1店は昼と夜の中抜け営業だった。ということもあって、手軽にみくりやそばが食べられそうな駅付属の桃中軒という立ち食い蕎麦へと入店した。この桃中軒、JRの駅付けで営業して支店が幾つかある蕎麦屋であるが、みくりやそばは当店でしか提供していないらしい。

桃中軒。誠に余談であるけれど、「うどん そば」の順で書いてあるから関西風?

桃中軒。誠に余談であるけれど、「うどん そば」の順で書いてあるから関西風?

みくりやそばは520円で提供されている。立ち食いそばであるし、あまり味の方には期待していなかったのだが、注文と同時に大鍋に投入される真空パック麺の玉を見て、後悔の念もよぎった。先に挙げたみくりやそば認定の2番目の項目、”麺は自家製もしくは御殿場市内で製麺されているもの”というものがあるから、パック麺のような大量生産・低品質の麺は使っていないだろうと踏んでいたのだが…確かに御殿場市内に大量生産の工場を作って、そこで製麺を行えばパック麺でも要件は満たすのだ。
パック麺を使っていたのは残念だったが、程なくして提供されたみくりやそばを見ると、案外丁寧に作られていて、意表をつかれた。

桃中軒 みくりやそば

桃中軒 みくりやそば

みくりやそばの特徴である具が沢山入っており、彩りも鮮やかだ。520円で出てくるものとしては、なかなか健闘している。汁は静岡県らしく濃い色合いであるが、駅そば特有のエグ味がない(御殿場の水を使っているからかな?)。人参と椎茸と鶏肉は甘く煮付けられており、柔らかい。柔らか過ぎて個別の具に印象は残らないのだが、不思議とこの甘い汁には合っている。そういう料理なのだと納得ができてしまう。
懸念点であった麺についても、水を使わず山芋を使うというみくりやそばの個性を感じ取ることが出来る。具や麺が柔らかめで、汁は甘ったるい。みくりやそばはやさしい料理なのだろうとひとり納得してしまうのであった。

山芋つなぎのそば

山芋つなぎのそば

みくりやそばにご当地グルメとしてオリジナリティがあるのかというと、そんなことはなく、どこかで絶対食べたことのある味付け・組み合わせだ。ただ、この組み合わせにはやはりご当地の通俗的グルメとして伝えられ、生き残るだけのことはあり、間違いがない。みくりやそばにはにしんそばのようにご当地グルメを超えて、全国の蕎麦屋のメニューバリエーションとして出されてもおかしくない完成度がある。贔屓の蕎麦屋のメニューにこれがあったら、毎度毎度頼んでもいいくらいだ。
ただ、全国的なグルメに発展した場合は、前出のみくりやそば認定基準の関係で、みくりやそばとは名乗れない。そこはジレンマかもしれない。「みくりや風そば」とかにすれば良いのかな(笑)。

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